
本山修験宗
小渕山
正賢寺
観音院
御本尊御開帳を終えて
― 感謝と結縁、そして未来へ ―
このたび、令和八年九月十九日より十月四日まで奉修いたしました、小渕山観音院「六十年に一度の御本尊 聖観世音菩薩御開帳」は、おかげさまをもちまして、無事に結願を迎えることができました。
鎌倉時代の開基より七百有余年、幾多の時代を超えて護り伝えられてきた当山の歴史において、六十年に一度、丙午の年に御出座される御本尊との尊いご縁を、実に多くの皆様と結ぶことができましたことは、この上ない喜びであり、深い感慨を覚えるものでございます。
期間中、遠近各地よりご参拝、ご拝観くださいました皆様をはじめ、公式ウェブサイトやSNSを通じて関心をお寄せくださった皆様、また、ご来山が叶わずとも心を寄せてくださいましたすべての皆様に、衷心より厚く御礼申し上げます。
また、御開帳に際し、尊いご法縁を賜りました聖護院門跡をはじめとする修験道諸大徳の皆様、奉納行事にご出演・ご協力いただきました皆様、行政・文化関係機関、地域の皆様、ご協賛・ご支援を賜りました皆様、そして準備から結願に至るまで献身的にお力添えをいただきました関係者、奉仕者の皆様に、改めまして深甚なる謝意を表する次第でございます。
皆様お一人おひとりの温かいお心とお力添えなくして、この盛儀を成し遂げることは叶いませんでした。
今回の御開帳では、御本尊への祈りとともに、各地で発生した自然災害からの復興、被災された方々の安寧、そして世界の平和とすべての人々の幸福を祈念してまいりました。
「観音妙智力(かんのんみょうちりき)」
法華経「観世音菩薩普門品」に説かれるこの尊いお言葉のとおり、観世音菩薩の不可思議なる智慧と慈悲の御力は、苦難にある人々を照らし、安らぎと希望へと導いてくださるものと信じております。
御開帳は結願を迎えましたが、観音様とのご縁が終わるわけではありません。
むしろ、このたび結ばれた尊いご縁こそが、新たな歩みの始まりであると考えております。
これからの観音院について
当山は、今回の御開帳を一過性の行事として終えることなく、これを新たな出発点とし、長きにわたり受け継がれてきた信仰と歴史を未来へつなぐべく、次の世代を見据えた取り組みを進めてまいりたいと存じます。
まず、御本尊をはじめとする貴重な仏像、仏具、古文書、歴史的建造物など、当山に伝わる文化財の保存と調査研究に努め、その歴史的・文化的価値を広く発信するとともに、次代へ確かに継承していくことを大切な使命と考えております。
また、修験道の伝統と観音信仰の精神を守りながら、定期的な法要や護摩供、特別祈願、法話などを通じ、皆様が日々の暮らしの中で仏縁を深め、心の安らぎを得られる祈りの場として、寺院本来の役割を一層充実させてまいります。
さらに、今回の御開帳において多くの皆様に親しんでいただいた奉納芸術や文化行事を礎として、音楽、美術、伝統芸能をはじめとする多彩な文化芸術との交流を深め、歴史ある寺院と現代文化が響き合う、新たな文化発信の場を育んでまいりたいと考えております。
そして、観世音菩薩の大慈大悲の御心を、祈りのみにとどめることなく、社会の中で実践していくことも、当山の大切な務めであると考えます。
自然災害に見舞われた地域への復興支援や被災者の皆様への祈念、慈善活動、地域福祉への協力など、時代の要請に寄り添った社会貢献にも積極的に取り組み、困難の中にある方々へ少しでも希望の光を届けられる寺院でありたいと願っております。
祈りを未来へ、文化を次代へ、そして慈悲の心を社会へ。
七百有余年の歴史を礎に、伝統を護ることと新しい時代へ歩みを進めること、その双方を大切にしながら、世代や地域を超えて多くの皆様が集い、心を通わせる、開かれた観音院を目指してまいります。
六十年に一度という悠久の時の流れの中で、同じ時代に生を受け、同じ御本尊の御前に集い、祈りを捧げることのできた奇しきご縁。
その一つひとつが、かけがえのない宝でございます。
このたびの御開帳を通じて結ばれた皆様とのご縁が、これからも末永く続き、さらに新たなご縁へと広がっていくことを、心より願っております。
結びに、このたびご縁を賜りましたすべての皆様のご健勝とご多幸、そして世の安寧と平和を、聖観世音菩薩の御宝前に心より祈念申し上げ、御開帳結願の御礼と今後へのご挨拶とさせていただきます。
すべてのご縁に、心からの感謝を。
観音妙智力の御光が、皆様の未来を明るく照らしますように。
合掌
令和八年十月吉祥日
小渕山観音院 山主
